北海道の市民活動レポート
我が町、我がふる里を住みよい町にしたいという願いは、その地域に暮らす人々が抱く共通の思いではないでしょうか。 こうした思いを具体的な形に変えるため、多くの皆さんが様々な活動に取り組んでいます。 それらの活動は、ボランティアやコミュニティ活動であったりNPO活動であったりと、取り組んでいる分野にも組織の運営形態にも違いはありますが、住みよい地域社会を創りたいという思いは同じです。 また、これからの時代は公共的、公益的なサービスが行政と市民活動団体との協働によって提供されるケースが多くなって来ると考えられますので、地域において市民活動をより活発にしていくことが必要です。 北海道には、既に社会的に高い評価を得ている市民活動団体も数多くありますが、一方で、社会的にはあまり知られていないものの、その活動内容や運営方法などで他の市民活動団体のお手本となり得る団体も少なくありません。 このレポートは、こうした他の市民活動の参考となるような特色を有する団体の情報を取りまとめることにより、北海道の今後の活動を一層促進し、併せて広く人々の市民活動に関する意識の向上に役立てたいと考え、作成したものです。 なお、掲載した市民活動団体は、活動分野別(@自然を生かす A明日を担う子どもたちを育てる B弱者に優しく C住民たちが交流する D先人の遺産を生かす Eユニークなアイディアでまちを活性化)、地域別(@道央圏 A道南圏 B十勝圏 C道北圏 Dオホーツク圏 E道東圏)の均衡などを考慮しながら、4人の編纂委員の協議で選定し、3人の編集委員が取材、執筆しました。掲載した団体以外にも、市民活動の参考となるケースは数多くあることはもとよりのことでありますが次の機会とさせていただきたいと考えています。 平成23年6月 |
分野別市民活動レポート
(それぞれの団体名をクリックすると市民活動レポートを閲覧できます)
@ 【自然を生かす】
市 民 活 動 団 体 名 | ページ | pdfファイル |
NPO法人 自然体験村「虫夢(むーむー)ところ昆虫の家」(北見市常呂町) | 1〜3 | 206KB |
エコビレッジライフ体験塾(札幌市) | 4〜7 | 398KB |
NPO法人 トラストサルン釧路(釧路市) | 8〜11 | 256KB |
松前花の会(松前町) | 12〜14 | 246KB |
黒松内町フットパスボランティア(黒松内町) | 15〜17 | 203KB |
A 【明日を担う子どもたちを育てる】
東川町写真甲子園(東川町) | 18〜21 | 265KB |
訪問型フリースクール「漂流教室」(札幌市) | 22〜25 | 248KB |
公益財団法人 そらぷちキッズキャンプ(滝川市) | 26〜29 | 252KB |
釧路自主夜間中学「くるかい」(釧路市) | 30〜33 | 233KB |
標津ふるさと体験塾(標津町) | 34〜36 | 184KB |
つべつべGROW(津別町) | 37〜39 | 199KB |
B 【弱者に優しく】
NPO法人 セルフサポートセンター浦河(浦河町) | 40〜43 | 247KB |
NPO法人 エスニコ(札幌市) | 44〜47 | 225KB |
NPO法人 北海道カラーユニバーサルデザイン機構(札幌市) | 48〜51 | 254KB |
NPO法人 ハンド・イン・ハンド(札幌市) | 52〜55 | 271KB |
NPO法人 旅とぴあ北海道(旭川市) | 56〜58 | 199KB |
C 【住民たちが交流する】
コミレス・食茶房 余市テラス(余市町) | 59〜62 | 284KB |
NPO法人 めむの杜(芽室町) | 63〜66 | 239KB |
NPO法人 ひとまちつなぎ石狩(石狩市) | 67〜70 | 272KB |
NPO法人 北海道でてこいランド(津別町) | 71〜73 | 210KB |
NPO法人 科学とものづくり教育研究会「かもけん」(室蘭市) | 74〜76 | 215KB |
D 【先人の遺産を生かす】
てつのまちぷろじぇくと(室蘭市) | 77〜80 | 236KB |
NPO法人 ひがし大雪アーチ橋友の会(上士幌町) | 81〜84 | 262KB |
産炭地活性化事業実行委員会(空知管内6市町) | 85〜88 | 250KB |
小樽再生フォーラム(小樽市) | 89〜92 | 248KB |
江差町郷土資料館(江差町) | 93〜95 | 195KB |
E 【ユニークなアイデアでまちを活性化】
NPO法人 利尻ふる里・島づくりセンター(利尻町) | 96〜98 | 206KB |
ゆうゆうマーシー(増毛町) | 99〜101 | 204KB |
田んぼdeミュージカル委員会(むかわ町穂別) | 102〜105 | 259KB |
赤平・らんフェスティバル(赤平市) | 106〜109 | 255KB |
室蘭手わざ(室蘭市) | 110〜113 | 277KB |
《取材を終えて》
取材を通じてまず感じたことは、まちづくりにたずさわる人々の燃えたぎる情熱とほとばしるエネルギーだった。「この町、この地域は私たちの手でよくしてゆかなければ……」の熱い思いがどの対象からもひしひしと伝わってきて、人口減、少子・高齢化、過疎など多くの難問を抱えながらも「北海道は、この人たちがいる限り大丈夫だ」の思いをひとしお感じた。
それを中心的に支えていたのは女性と、移住者のパワーだった。どのグループ、チームにも中核を担う女性がいて、とにかく尻込みしがちな男性を奮いたたせ、リードする姿が目立っていた。一方、その地域に移り住んできた人たちの言動も、まちづくりには欠かせない力となっていた。道内には地域によって土地の人を「土の人」、移住してきた人を「風の人」と呼ぶ習わしがある。「風の人」は各地での生活体験をしていることから、まちづくりのノウハウを身につけている。その人たちが新たな移住先で、自分たちが快適に過ごすためにもまちづくりに積極的に発言し、参加、行動する。その言動と「土の人」の思いが合致したとき、まちづくりはぐんと活性化し、新たな展開を見せる。これは人の交流と情報がいかに大切かを如実に示す証左といえ、今後、各グループ、団体のネットワークづくりや交流が一層、充実、拡大してゆくことが望まれよう。 また、近年のまちづくりが、従来の自治体依存または対立型から自主自立、協働型へ脱皮しつつある傾向がうかがわれた。これまでの市民活動は、どちらかといえば国や地方自治体が提唱、企画、予算化し、住民の活動はその“下請け的”意味合いが強かった。それがNPO(non-profit organization=非営利市民活動)が認められるようになった1990年代後半ころから、市民提唱、参加型へと次第に形を変え、まちづくりは自分たちが考え、活動資金もできるだけ自前でまかなおうというふうに変わってきた。今回の取材でも資金的苦しさはいずれにも共通していたが、そこは安易に自治体の補助や援助に頼るのではなく、自分たちの努力で何とかしてゆこう、何とかするのが当たり前、とする気概が見てとれ、これこそが21世紀のまちづくりの姿だと痛感した。それにしても各団体の資金難は深刻。住民が市民活動を資金的にバックアップした場合にその分、所得から控除されたり、ボランティア活動をした場合に何らかの見返りがあるシステムなど、国内ではまだまだ不十分な寄付文化やボランティア文化の向上、定着が是非必要と感じた。 このほか取材者の中には、まちづくりにたずさわる人々の原動力として「喜怒哀楽」がある、と感じた人もいた。花を世話して咲かせる「喜び」、資金難に敢然と立ち向かう「怒り」、自らが病身で弱者をサポートする「哀」、活動を通して味わう「楽しみ」。これが市民活動を続けるコツかも知れない、と結んでいる。 取材・執筆 大 竹 功太郎 |
活きいきまちづくり30
北海道の市民活動レポート
編集委員:大 竹 功太郎、島 田 昭 吉、紺 谷 充 彦
北海道立市民活動促進センター (指定管理者:財団法人北海道地域活動振興協会)
〒060-0003 札幌市中央区北3条西7丁目 道庁別館西棟
TEL 011-261-4440 / FAX 011-251-6789
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