しみセン便り臨時特別号(新型コロナウイルス編) WEB版 第1弾

しみセンだよりは通常年3回、7月、11月、3月の発行を予定していましたが、今回、新型コロナウイルスに関する情報をとりまとめてお届けすることが重要性、緊急性ともに高いと判断し、臨時特別号を発行することにいたしました。状況は刻一刻と変化するため、最新の情報については国や自治体などのホームページなどでもご確認ください。今後も広域災害などが起こった場合には臨時特別号を発行いたします。

最終更新日:2020/5/22
第1弾 PDF(824KB)
第2弾 PDF(506KB)
PDF(第1弾+第2弾、1299KB)

目次
はじめに-新型コロナウイルス感染拡大と北海道の動き
1:NPO法人の組織運営の関する情報
 1-1 社員総会の開催1-2 事業報告書等の提出1-3 理事会の開催1-4 職員のテレワークなど
2:NPO法人の経営(お金)に関する情報
 2-1 助成金や補助金について2-2 融資について2-3 納税について2-4 経営相談窓口について
3:活動に関する情報
 3-1 活動やイベントなどの自粛3-2 助成金の清算
4:その他の情報
 4-1 職員などに新型コロナウイルス感染が確認された場合4-2 用語の定義か変わる問題
5:感染するかもしれないという不安
はじめに-新型コロナウイルス感染拡大と北海道の動き

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を病原体として発症する病気の総称をCOVID-19(コーヴィッド19)といいます。この、ワクチンや特効薬のない、新しいウイルスによる感染症の拡大を防止するためにさまざまな対策が取られました。世界各地で行われた都市封鎖(ロックダウン)による経済への影響や、社会不安が引き起こす食料品やトイレットペーパーなどの買い占め。これら社会的・政治的・経済的な、混乱・不安・損失などを総称して、「コロカ禍(ころな・か 意味:わざわい)」と呼ぶこともあります。

2019年12月8日以降、中華人民共和国湖北省武漢市で原因不明の肺炎患者が多数確認され、その病原体が新型コロナウイルスと同定されました(2020年1月9日WHO声明)。1月20日、習近平国家主席は感染拡大防止を指示。武漢市は1月23日から4月8日まで都市封鎖されましたが、ときすでに遅く、アメリカやヨーロッパにも感染が拡大します。日本も例外ではありませんでした。

日本で初の感染者が確認されたのが2020年1月16日。約一か月後の2月14日に札幌市内でも感染が確認されます。北海道内で複数の集団感染(クラスター)が起こり、2月28日には鈴木直道北海道知事が「緊急事態宣言(法的根拠なし)」を行い、道民へ外出自粛などを要請しました。

その後、道内の新たな陽性確認者は徐々に減少。3月19日をもって宣言は解除されました。一方、全国的には感染が拡大し、東京をはじめとする7都府県に対し内閣総理大臣より、新型コロナウイルス感染症に関する特別措置法(以下「新型コロナ特措法」)を根拠とする緊急事態宣言が発令されます。期間は4月7日から5月6日までの一か月。対象外だった北海道も4月8日から感染者数が二桁を超える日が続き、4月12日に再び「北海道・札幌市緊急共同宣言」が発出されます。

4月16日には緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大。北海道は「特定警戒都道府県」に位置づけられます。緊急事態宣言により、各知事に緊急事態措置を行う権限が付与され、「住民に対する外出自粛」「事業者に対する施設の使用制限、停止」などを法に基づき要請することができるようになりました。このため都道府県により具体的な要請内容が違うこともあります。

5月4日、国の緊急事態宣言が5月31日まで延長されました。その後、5月14日には、39県の緊急事態宣言を解除しましたが、北海道や東京都、大阪府など8都道府県は、引き続き警戒が求められています。また、都道府県ごとに休業要請を見直す基準などを公表しています。北海道も緊急事態宣言解除後の新しい生活スタイルの確立と経済の立て直しを視野に入れた「新型コロナウイルス染症対策に関する今後の基本的考え方(PDF)」を、ホームページで公開しています。

北海道内では2月の緊急事態宣言が出される前から、自主的に不特定多数の集まる講演会、イベント等の中止などの判断をする主催者が多く、市民団体の運営や活動自体に影響を及ぼしています。感染拡大防止の観点から人との接触を減らすことが望ましい現在、理事会や総会の開催も簡単ではないかもしれません。このような状況に対応してNPO法人の運営に関して特例措置が設けられました。そのほか、各省庁はじめ様々な方面からも情報が発信されています。

1:NPO法人の組織運営の関する情報
1-1 社員総会の開催

NPO法により、年一回以上の社員総会の開催が義務づけられているため、定款に従い、総会を開催しなければなりません。しかし、コロナ禍の影響で社員が集まれない場合や、多人数の集会が難しい場合も想定されます。その場合は、書面や電磁的記録(メールやオンラインなど)での「みなし決議」や「みなし総会」での実施も可能となっておりますので、事前に定款を確認のうえ、詳細は所轄庁へご相談ください。

1-2 事業報告書等の提出

所轄庁へは「天災の影響など」として考慮するように伝えられているようです。今回のコロナ禍の影響で、事業報告書等の提出が遅延する場合は、事前に所轄庁へ相談しましょう。

1-3 理事会の開催

NPO法には特段の規定がされていないので、定款に従い開催します。注意事項は社員総会の開催と同じです。

1-4 職員のテレワークなど

4月13日付けで、内閣府からNPO法人に対し出勤者7割削減の協力依頼がありました(札幌市のホームページで確認できます)。この時は、政府の非常事態宣言が発令された地域ではありませんでしたが、3日後、非常事態宣言は全国に拡大され、北海道は「特定警戒都道府県」と位置づけられました。今後もどのような要請があるのか分かりません。国や都道府県などからの情報収集を欠かさないようにしましょう。

テレワークに必要なPC等機器を購入できる支援制度もあります。要件を満たせばNPO法人も交付を受けられます。

厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
*テレワーク用通信機器の導入・更新も支給対象
経済産業省「IT導入補助金『特別枠』」 (一社)サービスデザイン推進協議会(サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局)
*PC・タブレット等のハードウェアにかかるレンタル費用も補助対象
*2020年5月22日以降、制度の見直し・拡充内容の詳細および交付申請受付再開予定
2:NPO法人の経営(お金)に関する情報
2-1 助成金や補助金について

オンラインやクラウドファンディングなどさまざまな手段を用い、活動を変容させつつ継続していくことも大事ですが、支援活動や施設運営にはテレワークではできないことも数多く含まれます。活動を停止したり、施設を休館したりする場合は職員の休業補償なども考えなければなりません。

経済産業省からもコロナ禍による企業への影響を緩和し、企業を支援するための施策が出ています。持続か給付金など、条件を満たせばNPO法人が活用できるものもあります。

北海道から休業要請に従い休業した施設等の運営をしている団体に対し支援金が支給されます。感染リスクを低減する自主的な取り組みを行っていたり、売り上げが大幅に激減したりした団体にも一定の要件のもと支給されます。詳細はご確認ください。

助成金等に関する情報がまとまっています。参考になさってください。

2-2 融資について

NPOバンク事業組合が市民や企業等からの出資を受け、地域の課題や地域資源の活用に積極的に取り組むNPOなどへの融資を行っています。

ほかにもNPO法人が利用できる融資があります。貸し付け条件、返済などを確認し、この危機を乗り越えるため、適切な融資を検討することも選択肢のひとつです。

2-3 納税について

4月7日に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定され、4月30日に「地方税法等の一部を改正する法律」が公布されました。また、自治体単位での特例措置を設ける場合も考えられます。所轄自治体ホームページをご確認ください。

2-4 経営相談窓口について

北海道では、道庁に経営及び金融などの相談窓口が開設されています。各自治体、商工会議所などに開設されている場合もあります。北海道庁の相談窓口では、法人格の有無にかかわらず市民活動団体からの経営相談も受け付けています。

3:活動に関する情報
3-1 活動やイベントなどの自粛

活動休止の判断は、団体・主催者としてまさに「苦渋の決断」です。支援活動を長期に停止しなければならない事態は、関係各所への連絡だけでなく、そのことによる影響も考えなければなりません。必要最低限の活動を継続しなければならない場合でも、感染拡大防止の対策が必要になります。オンラインで代用できるものは積極的に活用する柔軟性も求められます。

イベントや講演会を中止する場合は、参加者へのチケットの払い戻しだけでなく、関係者の移動(航空券など)や会場のキャンセル料などにも対応せねばなりません。出演者への謝金は契約書などを確認したうえで双方の合意を得ましょう。北海道では、45月17日から5月31日までの期間、「施設管理者又は催物(イベント)の主催者に対し、施設の使用停止若しくは催物(イベント)の開催停止を要請(協力依頼)」が発表されています。

受託した業務を停止する場合は、受託金の減額、返金などの可能性もあります。契約書を確認して委託者との協議が必要でしょう。また、活動再開の判断基準や時期など、関係各所との調整が求められます。オンラインを上手く活用し協議しておくことが重要です。

3-2 助成金の清算

助成金を資金源として活動している場合は、活動期間の延長が可能なのか、キャンセル料などはどこまで経費として認められるのかなど清算に関しても助成元への確認が必要でしょう。多くの助成金は3月末を年度として設定されているようです。北海道は年度終わりの時期に、全国に先駆けて一度目の緊急事態宣言があり、新年度早々に二度目の宣言がなされました。全国とは状況が違うことも助成元に説明した方が良いかもしれません。

現在募集している全国規模の助成金情報を、一覧として公開しているページがあります。今後の活動資源として助成金申請を考えている場合の参考にしてください。ただし、コロナ禍の影響により、募集時期の変更、延期、あるいは中止の可能性があります。各助成元に確認をお願いいたします。

4:その他の情報
4-1 職員などに新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が確認された場合

政府などからは、基本的なルールやマニュアル的なものは公開されていませんが、組織としておこなわなければならない措置はあります。下記のサイトを参考に、対策を考えておくことが必要でしょう。

4-2  用語の定義が変わる問題

「濃厚接触者」の定義が4月22日に変更されました。イベント自粛要請の規模なども変わっています。また、5月14日以降は緊急事態宣言の解除や自粛要請の条件が緩和など、状況がめまぐるしく変わることが予測されます。それに伴い用語の内容や範囲が、地域によっても変わることも想定されます(例えば、緊急事態宣言解除基準、休業要請する施設など)。

感染症に関することは普段使わない言葉が多用されているので、ご自身で調べることも重要です。用語説明の一覧は見つけられなかったので、丁寧に探すしかありません。

5:感染とそれにともなう不安

どれだけ細心の注意を払っていても、感染症にかかってしまうかもしれません。自粛要請により活動を制限され、先の見えない不安を抱えている方も多いでしょう。北海道精神保健福祉センターでは、新型コロナウイルス感染拡大に対応した「こころの電話相談」を設けています。心のケアをミッションに掲げるNPO法人もあります。ひとりで苦しまないでください。

また、不安な時ほど不確定な情報に惑わされてしまうことがあります。自分で調べることが大前提ですが、「ファクトチェック・イニシアティブ」のような「社会に影響を与える様々な報道・言説のファクトチェック(真偽検証)」をおこなう非営利団体のホームページも参考になります。恐怖に委縮したり、過信したりせずに「正しく怖がるため」の情報を精査しましょう。

【参考】
ファクトチェック・イニシアティブ「新型コロナウイルス特設サイト」
*検証の内容は記事掲載時点のものです。また100%正しいとも限りません。
( ファクトチェックのトリセツをご確認ください )
北海道立市民活動促進センター